つくるひと#6 サトウアイさん

現在、「はぐみ」で小説「ダメな子」を連載しているサトウアイさん。小説を書くのは初めてという彼女に、物語が生まれた背景などをお聞きしました。


はじめましてのご挨拶

取材当日、少し緊張した面持ちで待ち合わせ場所にやってきたアイさん。以前、一度だけオンライン上でお話したことはありましたが、直接お会いするのは初めて。そりゃー緊張もするよなと、まずは私の自己紹介をば。Xジェンダーであると気づいたきっかけや、それに対して「愉快」と思っていることなどを話すと、「あ、なんかこの人オカシイわ(笑)」と思っていただけたのか、なんとなくリラックスした雰囲気になっていきました。場も整ったところで、いざ、取材スタートです。


小説「ダメな子」の第1話は、それほど大きな修正もなく原稿を納めたという彼女。もとから小説を書いていたのかと聞くと、そうではなかったようです。


お蔵入りした物語、ふたたび

「子どもの頃は、よく漫画を描いていました。物語を考えるのが好きだったんですが、絵を描くのが遅いからいつも1ページとかで終わっちゃうんです(笑)。小説は昔も今も読まないですね。読むと眠くなっちゃう」


そんなアイさんが「はぐみ」に小説を連載しようと思ったのは、彼女が発行しているメールマガジンの小冊子がお蔵入りになったことがきっかけでした。その小冊子には、今回の小説のもととなるエピソードが書かれていましたが、アイさん自身の経験談も盛り込まれていたため「そこまで赤裸々にしない方がいい」と周囲から反対されたそうです。


でも、どうしてもこれを何らかの形で世に出したい。そんな思いが「はぐみ」を引き寄せたのか、友人から「つくるひと」募集の話しを聞き、すぐさま応募したといいます。


物語は、もう少し続きます

いざ小説として書いてみると、第1話から予定外のエピソードが出来上がってしまったそう。「連載をスタートする前は4話で終わる構想だったんですが、いざ書き始めてみたら『あ、これは4話じゃ終わらないな』っていう設定になってしまって。なので、もう少しあの物語は続きます」そう笑いながら、彼女は今、小説を書くことが一番たのしいと語ります。


「これまで周りの目を気にして出来なかったこととか、他にやることがあるでしょっていう考えで自分をセーブしていた部分がありました。でもこれからは、損得勘定でやりたいことを決めちゃダメだなと。純粋にやりたいことをやっていこうと思っています」


純粋にやりたいことっていうと、例えば?と聞くと、彼女は「Perfumeのダンスを踊ること」と即答。じゃあもう、やっちゃえばいいじゃん!と言ったら、その日の夜に早速、お子さんと一緒にご自宅でダンスの練習をされていました。おぉ、即決即断…。個人的には、自宅でいきなりダンスを始めるお母さんって、とても素敵だと思います。


そんなアイさんが綴る小説「ダメな子」。どうやらまだまだ続きそうな気配ですが、これから先どんな展開になるのか、一読者として楽しみです。


<サトウアイ>

解き放つ表現者。自分を魅せることで世界を変える。自分を見つめ、アイラブミーになれる。直感✻感覚クリエイター


取材協力/お山カフェ アスチルベ

取材・文・撮影/山口由