今回は、夫と小学3年生の息子と3人で暮らしている、ひらいのりこさんにインタビュー。「はぐみ」では、何よりも大切な家族について綴っています。「以前は特別な人になりたいと思っていた」と語る彼女の“今”について聞きました。
ご縁とは、かくも不思議なモノですか
私がのりこさんと初めて出会ったのは、3年ほど前のこと。偶然、とある場所で一緒になって、まったり他愛もない話をしたことを覚えています。あの時は別の方をインタビューしていましたが、まさか巡り巡って、のりこさんを取材させていただくことになるとは…「ご縁って本当に不思議なものですねぇ~」なんて言いながら、じんわりとお話を聞き始めました。
以前から「はぐみ岩手」の存在は知っていたというのりこさん。何度か読んで「岩手にはいろんな人がいるんだなー。でも自分には書けないから、読むだけね」と思っていたそうです。活躍している人たちと自分とでは、世界が違う。そう感じていたのりこさんが「はぐみ」に参加したのは、SNSで見かけた「つくるひと」募集の記事がきっかけでした。
いろいろな家族のカタチを伝えたい
「つくるひと」の募集を知り、早速応募したという彼女。
「『これを伝えたい』っていう確固たる思いがあったわけじゃなくて、ただ書いてみたいって思ったんです。それで、参加するなら書く内容を決めなくちゃと思って(笑)。自分の身近なテーマとして、家族のことを書いてみようと思いました」
のりこさん曰く、彼女の家族は“個性的”。ステップファミリーであること、息子がダウン症であること、そして夫はうつ病の治療中であること。のりこさん自身も季節の変わり目や月の満ち欠けなど、いろいろなことに敏感なタイプで、元気になれない時も珍しくないといいます。
でも今の彼女にとって、一番大切なのは家族の存在。何かと大変なことはあるけれど、それはきっと、どんな家族でも抱えているもの。のりこさんは日々のことや家族に対する思いなどを「はぐみ」で連載することで、多様な家族の在り方を伝えています。
「記事を読んだ人が、『あ、こういう家族のカタチもあっていいんだ』って思ってくれたら嬉しいですね」
家族とともに、満ちていく月のように
「どうも私は自分の中のハードルがとても高いみたいで、基本的な発想が0か100かになっているらしいんです。自覚はないんですけど」
と語るのりこさんは、これまでどうにか自分に付加価値をつけなければと頑張ってきたそう。何かをしなければ、何かができなければならないといって自分自身に厳しくしてきた過去。それを塗り替えてくれたのは、夫のとっとさんでした。
「夫は、あなたが笑っていてくれればそれでいいと言ってくれるんですが、最初に聞いた時は『なぜに…?』と驚きました。でも彼はうつ病で、一度『底』を見ている人。だからこそ今生きていて仕事に行けて、家族がいるっていうこの暮らしが、何より大切だと感じているのだと思います」
そんなのりこさんの左手には、上弦の月をイメージしたオーダーメイドの結婚指輪が光っています。
夫と出会い、息子と3人で新たな家族の時間を刻み始めた彼女は、これからどんどん幸せで満たされていく。まるでそんな未来を指輪が告げているようにも感じられます。
「今の私にとって、何よりも大切なのは家族です」
そう言って泣き笑いしたのりこさんは、心底キレイで幸せそうに見えました。そんな彼女が紡ぐ家族の記録。これからも楽しみです。
<ひらいのりこ>
夫と息子、猫4匹と暮らす。性格はゆっくりで内向き。「はぐみ」で自身のページに掲載している写真は、全て写真愛好家の夫が撮影したもの。
取材・文・撮影/山口由
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